PubMedで論文が検索されるようになるまで③
PubMed, 2018.05.144月からスタートしたTVドラマ「ブラックペアン」、これまでの医療系ドラマとは違って学会やジャーナルや論文など学術的なキーワードとインパクトファクターや治験コーディネーターなど一部ではいろいろ話題になっていますね。原作とは違ってこれから新しい展開や機器も出てくるらしいので、個人的にはひとつのTVドラマとして楽しみたいと思っているジェイミーです。
前回の「MEDLINEとはなにか」に続き第3回は、「PMC:ピー・エム・シー」についてお伝えしたいと思います。
PMCとはなにか
「PMC」はMEDLINEを管理・運用しているアメリカ国立医学図書館(以下:NLM)の1部門として設立されたアメリカ国立生物工学情報センター(以下:NCBI)が管理・運用している1次情報データベースのオープンアクセスオンライン論文アーカイブです。
図1 各機関による運営の違い
歴史
1989年のノーベル受賞者(生理学・医学賞)であり,アメリカ国立衛生研究所(NIH)の所長でもあったハロルド・ヴァーマス氏が,1999年3月に生物医学分野で発表された研究成果に無料でアクセスできるオンラインサービスを提案したことがきっかけで「PubMed Central:パブメド・セントラル」 が作られました。
2000年2月からサービスを開始し、現在収録されてる論文数は330万以上となっています。
「PubMed Central」は、MEDLINEやPubMedのような2次情報データベースではなく、1次情報データベースとしてジャーナルを収録しているため、オンラインジャーナル化を実現できるようになっています。また、MEDLINE収録誌であればさらにMEDLINEにも登録されます。
そして「PubMed Central」にジャーナルを掲載するとPubMedの検索対象にも含まれるため論文の閲覧機会が大きく広がります。
さて、この「PubMed Central」ですがサービス名にPubMedがついているので本家「PubMed」との違いがわかりずらく、2012年8月にNLMが「PubMed」との混乱を避けるため、「PubMed Central」の名称を「PMC」へ変更すると発表しました。引用元:カレントアウェアネス・ポータル
ただ、トップページは図2のように似ていますし長年「PubMed Central」として浸透しているせいか「PMC」のWebサイトにもいまだに PubMed Central® (PMC) と記載されています。
図2 PMC(左)とPubMed(右)のトップページ
PMCの選定方法および選定基準
「PMC」に掲載されるには、MEDLINE のような厳しい審査はありませんが一定の選定基準に達していることが採択の条件となります。また、「科学的な価値」と「デジタルデータを作成するための技術」が必要とされています。
カギとなるサンプルデータの評価
「デジタルデータを作成するための技術」として、「PMC」が品質基準として指定するNLM DTDと言う規格に基づくXMLファイルの論文データを、発行元が作成し提供できることが前提となります。
そのため、申請時にサンプルデータを提出し、事前にXMLファイルを検証してもらう必要があります。検証に必要なサンプルデータ数は、50記事程度です。※2020年更新:現在は25記事になっています。(サンプルデータなのに結構な数!)
作成したサンプルデータへ「PMC」から指摘(修正)があった場合は、適切に対応し合格となるまでデータを送り続けます。ただし、指摘(修正)への対応が不十分だった場合やサンプルデータに重大な問題があった場合は、申請を取り消される場合もあります。
サンプルデータの検証に無事合格すると、採択となりPMC掲載に向けた契約の手続きへと進みます。
ちなみに、「PMC」でも審査に落ちてしまった場合はMEDLINEと同様で再申請は、2年経過しないとできません。
審査工程やXMLファイルの規定など、詳しくはPMCの以下URLにある参加方法やFAQページをご覧ください。
▽PMCへの参加方法
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/pub/pubinfo/
▽PMC FAQ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/about/faq/
申請にあたっては、メールによる問い合わせ先もありますので、こちらもMEDLINEと同様に気になることは遠慮なく聞けるようになっています。
最後に今回のちょっと役立つポイントはこちら。
第4回では、これまでご紹介した「MEDLINE」や「PMC」について実際にアトラスとして申請などサポートさせてもらった経験などご紹介したいと思います。
See You Later !!