PubMedで論文が検索されるようになるまで②
PubMed, 2018.02.072月と言う事はもうすぐバレンタインデー。この時期にテレビやラジオで流れるPerfumeの曲が「チョコレート・ディスコ」じゃなく「チョコレイト・ディスコ」だとリリースから10年たった2018年に知ったジェイミーです。
前回に続き第2回は、世界で最もよく使用される生物医学系データベース「MEDLINE:メドライン」の歴史や概要などの情報をお伝えしたいと思います。
MEDLINEとはなにか
「MEDLINE」はアメリカ国立衛生研究所(以下:NIH)の配下にあるアメリカ国立医学図書館(以下:NLM)が管理・運用している2次情報データベースです。
歴史
1949年以降の生命科学に関する非常に広い範囲の文献をカバーし、医学、薬学、看護学、歯学、衛生学、獣医学などのほか、生化学、分子生物学や、医学とあまり関係のない植物生理学や分子進化に至るまで現代的な生命科学のほぼ全領域を含み、他にもネイチャー、サイエンスなど総合学術誌については、別領域の記事も含めて5,600を超えるジャーナルに掲載された2,800万を超える文献情報を網羅しています。
要するにとにかくたくさんあります。
もともと医学文献のデータベースは、1874年に作成された索引集「Index-Catalogue of the Library of the Surgeon-General」がもとになっており、その後「Index Medicus」と名前を変えて広辞苑のように年々分厚い本になり2004年まで発行されていました。
「Index Medicus」は、きっとみなさんの近くの図書館にもあるはずですよ。
一方、1950年代は生物医学分野の発展にともない発行される文献の量が膨大となったため、紙媒体の索引集発行や文献の主題を一つだけにしぼって索引を作ることに限界がきていました。
そこで、1964年に「Index Medicus」を機械化して「MEDLARS (Medical Literature Analysis and Retrieval System) 」と言うデータベースを開発しました。
1970年代に入るとオンライン検索の必要性を感じ「MEDLARS」を専用回線などのオンラインで検索できるシステム「MEDLINE (MEDLARS Online)」 を有料サービスとして開始しました。
1990年代は世界的なインターネットの普及により、インターネット上で「MEDLINE」を無料で検索できる新しいシステム「PubMed」が実験的に開始され、1997年6月26日正式に「PubMed」サービスを開始しました。
MEDLINEの選定方法および選定基準
「MEDLINE」は、NIHの評議委員会が選考や収録範囲など方針を策定しています。
選定方法となる雑誌の審査は、雑誌の品質を評価するための「文献選択のための技術審査委員会」において、年に3回(2月、6月、10月)開催されています。各回約180のジャーナルを評価し、現在収録されている雑誌を取り下げたり追加したりしています。採択率は12~15%と言う狭き門です。
ただ、NLMが「MEDLINE」に必要であると認められたジャーナルは、NLM自らジャーナルを購読し「MEDLINE」に登録します。
実際に日本にもそのようなジャーナルが存在します。
審査は選定基準のスコアシートをもとに決定され適切な評価をするために、技術審査委員会は各研究分野について外部の専門家の評価や意見を聴取することもあるようです。
残念ながら審査に落ちてしまった場合ですが、最低2年経過しないと再申請できない条件となっています。
その間に選定基準である次の7つの要素を改善しないといけません。要素の詳細は「MEDLINE」の公式サイトに掲載されています。
・収録分野と収録範囲
・コンテンツの質
・編集の質
・製品の質
・コンテンツの種類
・外国語雑誌
・地域的雑誌
※詳しく説明するとちょっと長くなるので興味のある方は公式サイトをご覧ください。
https://www.nlm.nih.gov/medline/medline_journal_selection.html
申請方法は、以下URLの専用申請フォームからNIHのアカウントを取得し、入力フォームへ必要事項を登録して完了です。
▽MEDLINE Review Application
https://www.nlm.nih.gov/medline/medline_how_to_include.html
申請にあたっては、FAQのほかにも電話やFAX、メールによる問い合わせ先も(英語のみですけど・・・・)ありますので、気になることは遠慮なく聞けるようになっています。
最後に今回のちょっと役立つポイントはこちら。
第3回では、NCBIが運用するデータベースのPMCについてご紹介したいと思います。
See You Later !!
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