COUNTERレポートをご存知ですか

J-STAGE, 2018.01.23

年があけ、お正月気分も抜けるころ。そろそろ年度末に向けた追い込みモードになってきました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回のコラムでは、オンラインリソースの利用統計レポートの規格であるCOUNTERについてジャーナルに関連したものを中心にお知らせします。

発行機関に所属している方はジャーナルのプロモーションに、ジャーナルの購読機関の方は、購読方法の見直しにそれぞれご参考にしていただければと思います。

COUNTERってなに?

COUNTER(カウンター)は、相手が攻撃するために前に出るタイミングに合わせ、強烈なパンチを顔面にお見舞いする必殺ブロー。で、ではなく、オンラインリソースの利用統計基準を定めた国際機関です。そして、データ処理方法やレポート形式などをCOUNTER Code of Practiceとして規格化しています。COUNTERは機関名で、COUNTER Code of Practiceが規格なのですね。また、発行機関が提供するレポートがこの規格に準拠しているかは、第三者機関により監査を受ける必要があります。これによりレポートの一貫性・信頼性・互換性が保たれています。

どんなレポートがあるの?

ジャーナルの場合、スタンダードに提供されるレポートは以下の4種類です。

レポート名 内容 使い方
Journal Report 1 ジャーナル別のフルテキスト記事の表示件数。HTMLとPDFそれぞれ分けてカウント。 どの資料のフルテキストが読まれているかを月別に把握する。
Journal Report 1 GOA ゴールドオープンアクセス記事のみのJournal Report 1。 OA記事に絞り、どの資料のフルテキストが読まれているかを月別に把握する。
Journal Report 2 ジャーナル別のフルテキスト記事へのアクセス拒否件数。HTMLとPDFそれぞれ分けてカウント。 フルテキストを読もうとしてどのくらい拒否されたかをジャーナル別、月別に把握する。
Journal Report 5 出版年別ジャーナル別のフルテキスト記事の表示件数 どの発行年の記事が読まれているかを把握する。

COUNTERレポートの活用方法

図書館等の購読機関 ジャーナル発行機関
•よく使われているコンテンツを把握することで継続購読するかを決める
•利用者が読もうとして拒否されたコンテンツ数を把握することで、契約ライセンスが適切かデータに基づいた判断ができる
•コンテンツ利用者の行動を理解し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる
•顧客である購読機関に、信頼性の高い一貫した使用データを提供できる
•同時アクセスライセンスや閲覧回数制限を超えたことにより拒否されたコンテンツ数を把握することで適切なライセンスへの更新を顧客に提案できる。
•編集者と著者に出版物の利用状況を知らせる

COUNTERで規定されていること

ざっくり言うと、レポートの体裁や提供方法、カウント方法、除外すべきアクセスの考え方などを規定しています。
これだけは知っておきたいトピックを箇条書きにします。

  • レポートのファイル形式は大きく2種類。Microsoft Excel形式、タブ区切り(TSV)ファイル、またはMicrosoft Excelに簡単にインポートできる形式とSUSHIをサポートしている場合、COUNTER XMLスキーマに従ったXML形式
  • レポートの提供者は24ヶ月分のデータを保存しなければならない
  • 少なくとも12ヶ月分のデータを表示できなければならない(利用開始後12ヶ月分のデータが無い場合はある分だけ表示)
  • レポートは4週間以内に提供する必要がある(例えば2017年12月分のレポートは、2018年1月末に提供しないとならない)
  • 成功した有効なリクエストのみを数える(HTTPリターンコード:200,304)
  • 同一利用者からのアクセスと識別可能な場合、HTMLは10秒、PDFは30秒の間の複数アクセスは1カウントとし、期間に複数リクエストがあった場合、最後のリクエストをカウントする
  • COUNTERで対象規定しているサーチエンジンやクローラー等のロボット検索によるアクセスは除外する
  • レポートの値にエラーが見つかった場合、3ヶ月以内に修正する

このような規定に則ったカウントがなされているため、アクセス数に信頼性があるのですね。

COUNTERレポートはどこが提供しているの?

COUNTERレポートはオンラインリソースの提供者である発行機関が提供しています。提供者はCOUNTERのサイトに表示されます。また、提供者はサイト上にCOUNTERのロゴを表示することができます。

おわりに

このコラムでは現在の規定であるCOUNTER Cord of Practice Release4についてご紹介しました。しかーし、すでにRelease5が規定されており、レポート提供者は2019年1月からRelease5に準拠したレポートを提供する必要があります。また、Release5とRelease4のレポートを一定期間並行して提供することも必要です。Release5の詳細については、またの機会にご紹介させていただきます!以上、COUNTERレポートについてでした。