ゆるりとしたORCIDの連載 その③ 具体的なORCID活用シーン – 論文投稿審査 –

Editorial Manager , ORCID, 2018.03.02

 

高橋です。

少し暖かくなってきましたね。春が待ち遠しいです。

 

前回はORCID iDの取得について書きました。本連載をきっかけとして、IDを取得された方がいたら大変うれしいです。
続いては、取得したIDがどのように活用されるか、について書いていきます。

今回は投稿審査システムにおける活用例をご紹介します。
いまや多くのジャーナルで電子投稿審査システムが採用されています。投稿審査システムとORCIDは相性がよく、論文を出したい投稿者、ジャーナルを出版する編集者、双方にとって利便性が向上する仕組みが整っております。そのあたりを中心に見ていきたいと思います。

 

投稿・審査工程におけるORCID

投稿・審査の工程でORCIDを活用できる部分を以下の表にまとめました。(一部出版工程もあり)

ログインを簡便化するシングルサインオン、不正の防止、査読の業績化など、多岐にわたります。
大きく分類すると、「信用度の高い正確な情報を保有することによる利便性の向上」、「論文発表や査読実績などの業績の可視化」に分けられます。

投稿時点でORCID iDを集めることにより、著者や編集者の負担を下げるだけでなく、査読業績など、今まで可視化されていなかった新しい価値を簡単にフローに組み込むことができるようになります。

 

投稿・審査 ジャーナル横断のシングル
サインオン
  • ジャーナル毎に必要だったID/パスワードをORCIDで1つに集約
不正の防止
  • 著者/査読者の成りすまし防止
  • オーサーシップにおける不正の防止
著者のORCID iDの表示
  • 著者情報の曖昧性の排除
  • 著者情報の発見可能性の向上
出版 業績管理
  • 公開された論文情報がCrossref経由で自動的にORCIDに反映
    ※別の機会で書きたいと思います
査読の業績化
  • 査読を業績としてORCIDに反映

 

大まかなフローにすると以下のようになります。投稿審査時点でORCID iDを入れると後工程で大きな効果が出てきますね。

 

 

具体的な例

続いては、いくつかの活用ポイントについて紹介します。
例として利用している画面は投稿審査システム「Editorial Manager(以下EM)」です。

 

ジャーナル横断アカウントでログイン

ログインのID/パスワードはジャーナル毎に異なります。
多くの研究者は「A誌に投稿する」、「B誌で査読を担当する」、「C誌ではエディタだ」、といったように、複数のジャーナルにまたがって投稿審査システムを利用しています。しかし、ID/パスワードは別々なので、面倒なこともあったと思います。
ORCIDを活用すると、EM利用のジャーナル間であれば、シングルサインオンが可能です。

 

不正の防止

投稿時にORCID iDの登録/認証を必須にすることで、著者の成りすましを防止できます。
投稿を受け取る編集側(編集部、エディタ、査読者)もORCIDを辿ることで、著者のバックグラウンドを知ることができ、より円滑に審査・査読工程を進めることができます。
EMでは、「任意」、「責任著者のみ必須」、「著者全員必須」という設定が可能です。
ORCIDのID/パスワードを利用して認証する必要があるので、成りすましはできないような仕組みになっています。

 

査読実績の可視化

ORCIDには査読実績を登録できる項目があります。
これまで査読実績はあまり表に出ることはありませんでしたが、投稿審査システムからORCIDに査読実績を渡す仕組みを設けると、簡単に可視化することができます。
この仕組みを学協会の編集の人と話すと、「せっかく時間をかけて査読してもらったので、実績として評価されるようになるのは望ましい」という声を多く聞くことができました。
査読という形での、ジャーナルやコミュニティへの貢献が、しっかりと評価されるようになるのは望ましいですね。
EMでは今年中に査読実績の自動登録機能ができあがる予定です。

 

今回は、具体的なORCIDの活用シーンを投稿・審査工程から紹介してきました。
このように、投稿・審査の部分だけをみてもORCIDは有益だと思います。

次回もお楽しみに。

 

キーワード : ,