J-STAGE推奨基準が改定されました①登載・公開基準編

J-STAGE, 2020.08.27

こんにちは、いづいです。好きな蕎麦はすだち蕎麦です。

コロナ禍でJournal Caféも休業…してたわけではないのですが、5カ月ぶりのコラムとなりました。順次コラムを掲載していきますので、どうぞ引き続きお気軽にご覧ください。
さて今回は、5月にJ-STAGE推奨基準の改定版が公開されていたので、それをご紹介します。

J-STAGE推奨基準の改定

J-STAGE推奨基準は、科学技術刊行物の記事、つまりジャーナルの論文などをJ-STAGEに公開する際の基準が定められたものです。登載・公開基準と、編集基準の二つに分かれています。
元々平成20年に作成されたものだそうですが、「初版から10 年が経過し、今般の社会情勢も踏まえて見直しを行いました。」とJ-STAGE NEWS No. 43でと改定の背景が述べられています。

電子ジャーナルはWeb技術の普及・発展によって常に進化しており、学術コミュニケーションをより効果的にしています。「冊子体ありき」では考えられなかったような、原稿の採択後すぐにインターネット上で論文が早期公開されるのは今ではおなじみですし、さらに最近では査読前に原稿を公開するようなサービスも産まれています。

このコラムでは、推奨基準の改定箇所を見て、イマドキの電子ジャーナル事情を読み解いてみたいと思います。今回は登載・公開基準についてです。

登載・公開すべき刊行物

改定前の登載・公開基準は、J-STAGEに登載・公開する「記事」が主眼でしたが、その記事を掲載している「資料」(刊行物)についても新たに言及されています。元々J-STAGEは主に査読付き論文誌が登載コンテンツの中心でしたが、2015年から、査読のない論文誌、会議論文・要旨集、研究報告書・技術報告書等も登載コンテンツ対象となったので、まずその内容が改定で反映されたようです。その他に、無償公開であれば営利目的団体の資料も登載できることが明記されました。

また、いわゆる変遷について触れられています。現在刊行中のものをカレント誌と言いますが、そのカレント誌から誌名変更した後継誌や派生誌も必ずJ-STAGEで登載・公開すること、また、前身誌についてはそれのみで登載・公開できないことが書かれています。
また、J-STAGEでの公開後に、休刊や廃刊となった資料については、J-STAGEの画面上でその状態を明示したうえで継続して公開しておくことが今回明確にされています。Web上からなくなってしまうわけではなく、読める状態で残ることは嬉しいですね。

なお、登載・公開すべき記事に関しては、おおむね旧版と同じで、冊子体にはない電子付録について新たに記載されています。

登載・公開すべき記事の版

この項目は前の版では編集基準にありましたが、今回の改定で登載・公開基準に移されたようです。
巻、号、ページがついた最終的な出版版(出版バージョン)の記事に加え、査読される前の原稿や、査読後かつ出版版より前の早期公開などに関する記述が増えました。ここでは早期公開においても、著者原稿版、著者最終版(査読前)、査読済版(出版前)のような様々な版を公開できることが触れられています。

これは、J-STAGE中期戦略の中での、新たな時代の要請への取組事項

プレプリントサーバの利用による研究成果の発信手段の拡大及び発信時期の早期化に対応するため、プレプリントの専用サーバの設置や早期公開の多段階実施について検討する。

を反映したものと考えられます。今後、発行機関および著者の判断の元に、査読前の原稿がJ-STAGEで公開されるケースも出てきそうです。

その他

登載・公開にあたり、J-STAGE に登録する資料の関連情報

資料(ジャーナル)のいわば顔である資料トップページで表示される情報について説明されています。そのジャーナルがどの分野を扱ったものでどこの団体から発行されているかの情報はもちろんですが、表示を「推奨」としているもののうち特に「編集委員会情報」は、読まれるジャーナル、投稿されるジャーナルになるために大事な情報と言われています。昨今話題のいわゆるハゲタカジャーナルではないことの判断材料として、編集体制が明示されているかの確認を研究者に向けて喚起しているケースもあるので、この基準に従い是非とも表示したい内容です。

エンバーゴおよび認証機能利用時の注意事項

J-STAGEはオープンアクセスを推進しており、発行機関向けの利用規約でも発行機関がオープンアクセスの実現に積極的に取り組むことを定めているため、登載記事の無償での公開が強く推奨されています。
そのうえで、やむを得ず閲覧制限期間を設ける場合でも、冊子発行から公開までのエンバーゴ期間と、購読者・購読機関だけが読める認証期間を合わせて「24か月以内」と明記されました。つまり、その記事を冊子で発行してから遅くとも2年以内にはJ-STAGEで無料で公開する、という基準で、これは今回の改定での大きなメッセージでしょう。


今回のコラムはここまでです。酷暑が終わり、そろそろ鴨せいろもいいな、と思う頃に、もう一つの編集基準の改定についてとりあげます。お楽しみに。

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