【朗報】J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)サービス開始!

J-STAGE, 2023.11.24

皆さんいかがお過ごしでしょうか。ルイージです。
ある朝、日課の散歩をしていると「田中・中島」と書かれた表札を見つけました。ふと、若い頃に先輩から教わったことで、とても印象的だった次のことを思い出しました。

単語の最後が長音の場合省略せよ。プリンターはプリンタと書くのでR。

大企業の場合、インクであったり、紙であったりこの1文字の省略が積もり積もって大きな節約になるとのこと。へぇー確かに何万人も社員がいて、それぞれが印刷したら紙の量がすごいな。と感心したのでした。でも一旦その文化圏を出ると、当たり前だったことが当たり前ではなく、サーバーをサーバと書くとなにそれ?みたいになったりしますよね。世界の縮図ですね。そんな教育を若い頃に受けたことが原因なのか、表札を「田中島」と2文字も省略したくなるルイージです。

さて、2022年の5月に発表されたJaLCを通してDOI登録されたJ-STAGE登載コンテンツ全件(2021年12月末時点で、約260万件)がTurnitin社と連携されたというパートナーシップから、1年4ヶ月。あれどうなったんだろうと思っていましたが、2023年9月に「J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)」の開始がアナウンスされました。
類似性チェックについてなかなかイメージするのが難しそうなので、ビジュアル的な例えにチャレンジしてみます。

例えば、紙に書いた小説があるとします。文章は魔法のインクで書かれています。机の上にはカラフルな色の砂の入った箱が置いてあります。ルイージは箱にその紙を入れ、サンバのリズムで踊りながら箱を振ります(BGMはマンボ NO.5)。そして、一旦落ち着いたあと、神妙な面持ちで箱からゆっくり紙を取り出します。すると、他の小説で使われていた似たような文章だけに砂がついてきます。砂の色でどの小説かわかるようになっています。みたいな?つまり、今回のパートナーシップによって、砂の中にJ-STAGEのコンテンツも入ってしまったということでした。J-STAGEには学術的なコンテンツ、特に和文が多いので、日本語文献の類似性チェック精度が上がったと言えないでしょうか。

このコラムでは、「J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)」についてルイージが下記を説明します。

  • どんなサービス?
  • サービス利用までの手続き
  • 利用料金

どんなサービス?

これまで、J-STAGEでCrossref DOIを付与している機関しか利用ができなかった類似性チェックサービスが、JaLC DOIを付与している機関でも利用できるようになりました。

「J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)」は、JaLCが会員向けに提供している「類似性チェックサービス」を利用しています。J-STAGE利用機関もJaLCの会員のため申請するとiThenticateのアカウントが提供されます。

iThenticateの概要

iThenticate(アイセンティケイト)は、Turnitin社が提供する文書のオリジナリティを確認するためのツールです。学術論文や研究報告など、オリジナルであることが求められる文書を対象に、インターネットや大規模なデータベース内のコンテンツと比較して、類似した内容やコピーした文章がないかを調査することができます。詳しくはオフィシャルページをご参照ください。

J-STAGE・JaLCとTurnitin(iThenticate)の連携

どのように連携しているのか、概要図を書いてみました。

簡単に説明すると、
オレンジ色はCrossref DOI利用時のルート。

  • J-STAGEに登載したコンテンツのメタデータはJaLCに登録(①、②)された後、JaLC経由でCrossref(③)に登録される。
  • TurnitinはCrossrefのメタデータからコンテンツの全文リンクを取得(④)後、J-STAGEの全文PDFをクローリングしiThenticateのデータベースを更新(⑤)する。
  • J-STAGEのオプションサービスである「J-STAGE Similarity Check」の利用申し込みをすると、iThenticate をベ ースに Crossref が運営する類似性チェックツール「Crossref Similarity Check」(⑥)が使えるようになる。

レンガ色は今回追加されたJaLC DOI利用時のルート。

  • J-STAGEに登載したコンテンツのメタデータはJaLCに登録(⑦、⑧)される。
  • TurnitinはJaLCのメタデータからコンテンツの全文リンクを取得(⑨)後、J-STAGEの全文PDFをクローリングしiThenticateのデータベースを更新(⑩)する。
  • J-STAGEのオプションサービスである「J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)」の利用申し込みをすると、iThenticate をベ ースに JaLCが運営する「類似性チェックサービス」(⑪)が使えるようになる。

呼称とサービス提供元が違いますが、どちらもiThenticateのアカウントが提供されます。
表にまとめると以下のとおりです。

対象機関 J-STAGEオプションサービス名 サービス提供元 提供されるアカウント
Crossref DOIを付与するJ-STAGE登載誌の発行機関 J-STAGE Similarity Check(Crossref DOI版) Crossref(Similarity Check) iThenticateのアカウント
JaLC DOIを付与するJ-STAGE登載誌の発行機関 J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版) JaLC(類似性チェックサービス) iThenticateのアカウント

J-STAGE類似性チェックサービス(JaLC DOI版)の利用方法について

手続き方法

簡単に説明すると以下のとおりです。

  1.  利用規約をよく読み同意する
  2.  利用申込書をダウンロードし必要事項を記入する
  3.  事務連絡担当者となる方の個人情報を「個人情報の取扱いに関する同意書」に記入する
  4.  2.はExcelファイル、3.は署名捺印後、印影のわかるカラーPDFに変換しメールにてJ-STAGEセンターに送付し申し込む

審査が通れば利用申請書記入のアカウント登録用メールアドレス宛てにログイン用のメールが届きます。
詳細はこちらをご確認ください。

利用料金(2023年11月時点)

  • 1回のチェックあたり0.75ドルの費用がかかります。
  • ただし確認コンテンツが 英語で25,000 語を超える場合、25,000 語を超える毎に実際の利用回数に1が加算されます。(日本語の場合はおおよそ2文字で1語とカウントされる)
  • 請求は前年(1月~12月)の利用回数をもとに請求金額を計算し、毎年2月以降に申込書記載の「請求書の送付先」に請求書が届くとのことです。

おわりに

個人でiThenticateを利用する場合、25,000 語以下の原稿のチェックに100ドルかかるのですね。このようなサービスをお手頃に利用することができることを考えると、剽窃チェックを運用フローに組み込むことを検討中の機関様で、まだJ-STAGEを利用していない場合は、J-STAGEへ登載することを検討されてみてはいかがでしょうか。
弊社ではジャーナル公開支援サービスとしてJ-STAGEへのコンテンツ登載もサポートしています。
是非ご参考にしていただければ幸いです。お気軽にお問い合わせください。

それでは、ごきげんよう!!良い類似(ルイージ)性チェックライフを!