研究公正と倫理規準を守る剽窃検知ツール「Similarity Check」とは?

Editorial Manager, 2022.07.22

こんにちは。瀬谷です。今年は梅雨があっという間に明け、早くも猛暑日が続いたかと思えば、また梅雨のような天気に戻ったりと不安定なお天気が続いていますね。効果はさておき(?)、体調管理のためサプリメントを飲みあさる今日この頃です。皆様も体調管理にはお気を付けくださいませ!

さて、学術業界に携わる皆様の中には、一度は「剽窃チェック」や「二重投稿」などの言葉を耳にされたことがあるかもしれません。今回は剽窃検知ツールについてご紹介します。

剽窃とは?

他人のアイデアや言葉を盗み自分のものにする、他人の作品を無断で複製するという意味になり、文部科学省でも研究活動の不正行為として定義されています。

引用:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334660.htm(文部科学省ホームページより)

特に学術研究の分野では、研究の正当性や信頼性を判断するうえで論文間の引用・被引用関係はとても重要です。正当な引用であれば、引用部分が多くても不正論文にはならなかったり、引用部分が少なくてもコピペ部分があれば不正論文が疑われます。また、過去の自分の論文を書き写して、新たに書いたようにみせかけることや、意図的ではなくとも引用・被引用のルールを知らないがために剽窃に該当することをしてしまう場合もあります。

研究成果の公正さ、倫理規準を守るためにも、剽窃検知を行う学会様が増えてきております。剽窃検知は、システムでの確認が有効と言われていますが、そんな剽窃検知ツールの一つに、「Similarity Check」がございますのでご紹介いたします。

Similarity Checkとは?

Turnitin社のiThenticateをベースにCrossrefが提供しているWebベースのサービスです。900億以上のWebページや学術コンテンツ、世界一流の学術出版社からの約1億6500万件のジャーナル記事と購読コンテンツソースなど、膨大なデータベースと新規論文のテキストを比較照合し、類似率のレポートを返すツールです。Word、 Excel、 PDFを含めた豊富なファイル形式に対応しており、利用可能言語も日本語を含めた13の異なる言語に対応しています。

Similarity Checkの特徴

  • 膨大なコンテンツから比較照合しているため、チェックの精度が高い
  • ファイルをアップロードするのみで操作が簡単
  • 類似率の数字だけではなく、テキストのどの部分が重複該当箇所かのマークアップ表示
  • 参照元のデータも表示され、同ページで確認が可能
  • 投稿審査システムと連携しており、投稿段階でのチェックも可能

サンプル画面

Similarity Checkは、弊社が日本総代理店を務める投稿審査システム「Editorial Manager®」とも連携をしております。著者の投稿段階からチェックをすることで、工程の簡素化、早い段階での確認が可能です。Similarity Checkとの連携につきましてはこちらの記事もご覧ください。

パートナーシップの強化 – 和文コンテンツへの対応

今年5月には、Turnitin社がJST(科学技術振興機構)とのパートナーシップ締結を発表しました。(参考
新たに連携されるのは、日本における永続的識別子(DOI)の登録機関であり、JSTが事務局を務めるジャパンリンクセンター(JaLC)のコンテンツです。
簡単に言えば、和文コンテンツにおいて比較照合されるデータが増えるということです。
今回のパートナーシップによって、連携されるJaLCとJ-STAGEのコンテンツには、以下のものが含まれます。

  1. 剽窃チェックサービスの利用を希望するJaLC会員機関が、JaLCを通してDOIを登録したコンテンツ
  2. JaLCを通してDOI登録されたJ-STAGE登載コンテンツ全件

2021年12月末時点で、約260万件に上ります。

将来的にも、投稿論文のオリジナリティが重要視され、二重投稿や盗用に対する審査の目が厳しくなることが予想されると言われている中、このパートナーシップのニュースは、和文誌にとっても追い風と言えるのではないでしょうか。

最後に

Similarity Checkのような高度なツールを導入することで、研究成果の公正性や倫理規準を守ることに繋がり、それがジャーナルの信頼性や価値向上に繋がるのではないかと思います。近年では、Similarity Checkの導入を検討する学会様も増えておりますが、実際にSimilarity Checkを導入した学会様では、機械的に採用の可否の基準とはしておらず、あくまで査読の参考として使用しているケースが多いようです。
Similarity Checkのご利用を検討される場合は、弊社サポート担当までお気軽にお問い合わせください。皆様のご検討の一助になれば幸いです。

次回の記事もお楽しみに♪