査読者探しの課題と学会の事例

Editorial Manager, 2022.03.25

こんにちは、小川です!
桜が開花したかと思ったら都内では雪が降り、中々安定しないお天気が続きますね。季節の変わり目なので体調管理に気を付けて、元気に新年度を迎えたいです。

さて、今回のテーマは「査読者探し」です。
事務局様やジャーナル編集委員の皆さまにとって、査読者の選定は大変労力がかかる作業かと思います。選定が長引くほど著者にとっても審査期間も伸びるため、査読者候補を増やし効率的に審査を進めることは多くのジャーナルにとって課題となっています。
今回は査読者探しに役立つ学会様の事例やサービスについてご紹介したいと思います。

1.査読者に報酬を支払う

これまで査読は膨大な時間と労力を要するにも関わらず、査読者は学術界の発展のために善意のボランティアとして無償で査読をするものという考えが一般的でした。ただし近年では査読者に対して謝金などの形で報酬を支払うジャーナルも増えてきています。また海外のオープンアクセス出版社のPeerJでは、刊行物の査読者・編集協力者への報酬として、APCが割引になる「PeerJ Tokens」(1トークン=10ドル割引)を発行することが発表されました。(出典:Current Awareness Portal「オープンアクセス出版社PeerJ、論文処理費用の割引に使える“PeerJ Tokens”を査読者・編集協力者に報酬として提供すると発表」)
無償であるが故に査読を引き受けることに対して消極的になる査読者も多いため、査読や編集者の功績に対して何らかの形で報酬を支払うというジャーナルは今後も増えていくのではないでしょうか。

2.外部データベースの利用

外部のデータベースを利用して査読者を探す方法です。
Clarivate Analytics社が提供する「Reviewer Locator(レビュアーロケーター)」は、Web of Scienceに登録されている国内外約800万人の研究者データの中から、タイトルや抄録などの論文データとマッチングすることによって査読に最適な査読者を推薦してくれるサービスです。
2021年からは弊社が提供している投稿審査システム「Editorial Manager®(以下EM)」とも連携が始まりました。編集者はEM画面上からワンクリックで査読者データベースにアクセスでき、そこから査読者に依頼することができるようになりました。EMをご利用中の場合はオプション機能となりますので、ご利用を検討される場合は弊社サポート担当までお気軽にお問い合わせください。

3.著者による推薦

通常は編集者が選定することが多い査読者ですが、著者本人が査読者を推薦する形式をとるジャーナルもあります。もちろん利益相反がないか等チェックする必要はありますが、編集者からすると査読者を探す手間が省け、著者側にとってもスムーズに審査を進めてもらえるため審査期間の短縮に繋がるメリットがあります。なお、こちらもEMでは投稿画面に「推薦査読者」「非推薦査読者」の入力欄を設けることができるため、編集者は査読者選定時の参考にすることができます。

▽画面イメージ(Editorial Manager/英語画面)

おまけ

おまけのご紹介となりますが、EMでは査読者の実績をレポートとして出力することができます。デフォルトで設定してある「Reviewer Thank-You List」では、例えば以下の項目を簡単に出力できます。

  • 各査読者が指定した期間で何件査読を終えているか
  • 平均査読日数
  • 平均遅延日数 など

上記項目以外にも、他の項目と組み合わせてカスタマイズすることも可能です。Excelでダウンロードすることもできるため、編集委員会などでお役立ていただけるかと思います。

さいごに

今回は査読者探しがテーマでしたが、いかがでしたでしょうか。
円滑でスムーズな審査はジャーナル編集に携わる全ての方々にとっての課題かと思いますので、本記事を少しでもご参考にしていただけましたら幸いです。
ジャーナルカフェでは今後も皆さまに有効な情報を発信していきます。
次回の記事もどうぞお楽しみに♪