学術情報XMLの作成実務ウェビナーに参加しました
セミナー, 2020.12.25こんにちは。菊池です。テレワークと運動不足で恰幅の良い姿を手に入れつつあり、新年の抱負に適度な運動を付け加えるかと考えています。なにか不言実行できる良いアイデアはないでしょうか。
さて、11月16日(月)に学術情報XML推進協議会(XSPA)のウェビナー「学術情報XMLの作成実務」に参加しました。学術情報XML推進協議会にはアトラスも発足当時から加入しており、過去に何度か講演もさせていただいています。
今回のウェビナーは長年XML作成に携わる印刷会社様のXML作成事例をご紹介いただけるということで参加してきました。アトラスでも学会様のJ-STAGEやPMC用のXMLデータを作成しており、私も学術情報のXMLであるJATSには約8年携わっているのですが、印刷会社様が得意とする組版工程とその工程の中でのXMLの扱いは詳しくないので、興味深く参加しました。
ウェビナーでは、各印刷会社でのXMLを軸にしたXML組版フロー、ソフトウェアの紹介、著者が論文執筆時に使用するオーサリングツールについて、説明されていました。
組版と学術情報XMLについて
私の考えになりますが、従来の組版は学術情報XMLを知らなくても困りません。学術雑誌の電子化により、J-STAGEやPMCなど、プラットフォームへデータを登載するにあたり、世界共通の学術情報XMLが必要不可欠となりました。
学術情報XMLの技術習得が難しいなか、組版の校了後に同じ内容を学術情報XMLに書き写しと確認作業が増え、さらに電子化で公開したデータの修正は容易ではないこともあり、神経をすり減らしている状況と勝手に思っています。
組版と学術情報XML作成の工程を1つに出来れば、内容確認の二度手間も無くなるので、今回の作成実務紹介を楽しみにしていました。
学術情報XML作成事例
学術情報XML作成事例のセッションでは、原稿をXMLに変換することで、XMLを編集して組版データと登載データを出力する一本化されたフローが紹介されていました。
ジャーナルの電子化における課題であった「組版」と「XML」の多重管理の必要性がない効率的なフローが実現されていました。
各工程間のデータ変換、例えば入稿原稿のXML変換、XMLから組版データと登載データの変換、図版と数式の管理などといった、各工程間で手戻りが発生する作業をいかに減らすかが工夫されていて、とても参考になりました。
また、oXygenとAH Formatterの紹介では、XMLの編集のしやすさや自動組版が魅力的でしたが、費用面や自動組版によるデザインでの運用は、結構な決断が必要と感じました。
弊社では、発行後のPDFからXMLを作成しているケースが多いですが、PDFの構成上、レイアウトが重視されているため、文字の情報が正確でない場合あり、作成したXMLの一字一句確認や文字修飾の適用範囲確認など、データの確認に時間を使っています。その点、今回紹介いただいたXML組版フローでは、校正などの修正もXMLで完結しているので、XMLとPDFで一字一句見比べる必要がなく羨ましいです。
XML組版フローの成果や課題
各社の説明の後は、それぞれのフローのメリットやデメリット、DTPやXMLの技術取得、校正やデータチェックの効率化など、成果や課題について議論がなされていました。
共通して、実務担当者の技術習得や人材育成が急務であり、属人化の解消が必要という印象が残りました。DTPとXMLはさながらデザイナーとエンジニアのように、幅広い専門の知識が必要と再認識しました。
発行前や公開前のデータチェックも重要で、各社はXMLパーサやSchematronで内容の整合性や妥当性を確認して、様々なケースに対応できるように条件を追加していました。
弊社ではブラウザで表示している文字修飾に色を付けたりなど、気づきが増えるように小さな工夫を積み重ねています。アイデアの共有など、負担を減らせるといいですね。
おわりに
オーサリングツールなど、便利なツールも世の中に数多くあるので、著者の入稿から発行・公開まで、労力が軽減する時代になるといいですね。
また、コロナ禍で図書館などに外出しづらいなど、電子化の需要がますます増えています。オンラインのみの公開であれば、簡易な組版PDFでJ-STAGEやPMC用の登載データ作成を低コスト化で実現できないかと、弊社ではジャーナル公開支援サービスを提供しております。お気軽にご相談いただければと思います。