COUNTER R5とは ②
J-STAGE, 2018.08.29皆さん、こんにちは。古い文庫本を読んでいるとたまに出てくる「カフエー」の文字を見つけるとニヤけてしまうカフエです。今回のコラムはCOUNTER R5のレポートを読み解くうえで必要な「メトリクスの種類」についてご紹介します。
このコラムを読む前に、最終的なレポートのイメージを掴んでから読んだ方がわかりやすいかもしれません。COUNTERレポートのサンプルはこちらから確認できます。チラ見してみてください。
ジャーナルの場合、レポートの形式としてはプラットフォーム全体のレポートとして「PR」「PR_P1」、資料タイトル別のレポートとして「TR」「TR_J1」「TR_J2」「TR_J3」「TR_J4」であることは前回のコラムで説明しました。
各レポートはExcelで見やすいフォーマットになっており、1行目から12行目まではレポートヘッダー、13行目は空白行、14行目がカラムヘッダー行、15行目以降がレポートの本文になります。各レポートを細かく見る前に、レポートのメトリクスの種類について説明します。
メトリクスのまえに
メトリクスって良く聞きますが、言い換えると「その数値のカウント方法」としても良いかもしれません。何をどうカウントしているかがわからないと数値の意味が理解できませんよね。
小さじ1と言っても測るものが違うとg(グラム)数も変わります。グラム数は違えど小さじ1であることには変わりはありません。いったい何を言っているのかわかりませんが、そう言う事です。
まずは、COUNTER R5の主なメトリクスを理解するために必要となる知識を説明します。
Investigations(調査)とRequests(要求)
COUNTER Code of Practice Release 5には以下ようにユーザーのアクションを「Investigations(調査)」と「Requests(要求)」に区別してカウントすることとしています。
例えば、抄録を見た、引用文献を見たというアクションは「Investigations(調査)」にカウントされ、論文のフルテキストであるPDFを見たというアクションは「Requests(要求)」と「Investigations(調査)」にそれぞれカウントすることとしています。
Total_Item、Unique_Item、Unique_Title
説明が難しいのです。例えばJ-STAGEで研究テーマのワードを検索したとします。するとコンテンツがいくつかヒットします。検索結果のリストから、4つの記事の抄録を開きます。 4つのコンテンツはすべて異なりますが、そのうちの2つの記事は同じジャーナルのものです。
その場合、以下のようなカウントになります。
UniqueとTotalの違いを簡単に説明すると、「Uniqueは同一セッション内のアクセスを複数回であっても1とし、Totalは全部カウントする」です。
セッションって?
COUNTERではよくセッションと言う言葉がでてきますが、一般的なHTTPのリクエストとレスポンスで1セッションと言う意味とは違うようです。COUNTER Code of Practice Release 5には以下の記述がありました。
ユーザセッションは、通常、ログに記録されたセッションIDとトランザクション日付を組み合わせて定義されます。
セッションIDが明示的に追跡されていない場合は、1日を24時間に分割し、トランザクション日付と1時間帯に次のいずれかを加えたものを組み合わせ、代理セッションIDを作成します。
■ログに記録されたユーザーID
■ログに記録されたユーザーCookie
■IPアドレスとユーザーエージェントの組み合わせ
次のトランザクションを考えてみましょう。
■日時:2017-06-15 13:35
■IPアドレス:192.1.1.168
■ユーザーエージェント:Mozilla / 5.0
これにより、次のセッションIDを生成することができます。
192.1.1.168 | Mozilla / 5.0 | 2017-06-15 | 13
つまり上記のように代理でセッションIDを作成した場合、同一IPアドレスからの1時間帯は1セッションとみなされるようです。
メトリクスの種類
さて、前置きが長くなりましたがここからが本題です。
COUNTER R5のメトリクスの種類とレポートの対応は以下の通りです。
おわりに
今回は細かい話になってしまいました。
Itemが何とか、セッションの考え方はプラットフォームによって違いがありそうですね。COUNTERのよいところとしては、上記のような細かい仕組みを別に知らなくても、COUNTER規格に準拠していることを知っていれば、複数のプラットフォームで公開しているジャーナルの効果を比較をする際にそれなりに信憑性のあるデータとして利用できることです。これがCOUNTERの目的であり、準拠しているか、していないかの大きな違いであり重要なポイントなのです。
つまり、J-STAGEのCOUNTERレポートとEBSCO(エブスコ:海外の図書館データベースサービス)のCOUNTERレポートの数値を比較した場合、小さじ1は小さじ1なのでR(巻き舌)!
次回もお楽しみに。
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